部分矯正ってどんな矯正?
こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科クリニックで矯正治療を担当しています日本矯正学会認定医の宮島悠旗です。
よく患者さんから「歯並びの治療を部分矯正でお願いできますか?」と質問を受ける場合があります。8割から9割は部分矯正ではなく全顎矯正といい全体で矯正をしなければいけません。そもそも部分矯正とはどんな矯正なのか。今回は部分矯正について説明したいと思います。
部分矯正とは?
明確な定義はありませんが、一定の問題のある歯だけを動かす矯正と考えて下さい。
例を出すとこのような歯並びを治す矯正を言います。
1:近心傾斜(アップライト)
2:牽引(エクストルージョン)
3:1歯の反対咬合
4:交叉咬合(シザースバイト)
それでは1つずつ解説していきます。
1:近心傾斜(アップライト)
アップライトとは歯が抜けてしまい奥の歯が手前に傾いてきた歯を近心傾斜と言います。それをまっすぐに治す矯正をアップライトと言います。
このように歯が手前に倒れてしまうと起こりうることは、
①磨きにくくなりむし歯や歯周病になりやすくなる。
②ブリッジや入れ歯、インプラントが入れにくくなる。
③上の歯が挺出(下がってきて)してきて噛み合わせが崩れる。
こういったことが起こる可能性があります。
重要なのは歯が倒れてくる前にブリッジや入れ歯、インプラントなどで欠損部分を治しておくことです。倒れてしまった歯のまま無理矢理ブリッジや入れ歯、インプラントを入れると後々に倒れた歯が悪くなることもあります。
2:牽引(エクストルージョン)
むし歯が大きく歯茎の下にまでむし歯が及んでいた場合は型を取るのが非常に難しくなります。
歯茎より下にむし歯がある場合、歯茎から出血などがあり型取りが不鮮明になります。型取りが不鮮明だと補綴物(土台やかぶせ物)の適合が悪くなりそこから虫歯になります。また型を取った補綴物(土台やかぶせ物)はセメントでつけます。歯茎より2ミリ以上下の虫歯になるとセメントを取り除くのが難しくなりセメントが歯茎の下に残ってしまい歯周病などになってしまいます。
そのためむし歯が大きく根っこだけの歯になってしまった場合はこの牽引(エクストルージョン)という部分矯正を行うことで歯の保存を行うことができます。
牽引(エクストルージョン)を行うことができない場合は抜歯になる場合もあります。根だけの歯を残したい場合は牽引(エクストルージョン)を選択して歯の保存をしましょう。
3:1歯の反対咬合
1本の歯だけの反対咬合(上の歯が内側にあり下の歯が外側にある)の場合も部分矯正で治す事ができます。治し方は様々ですがよく使う治療法はリンガルアーチとブラケット。
リンガルアーチとはこのような装置です。奥歯の大臼歯を支えにして歯の裏側に沿わせて入れる装置になります。主線という太いワイヤーから補助弾線という細いワイヤーを出して裏から歯を押す装置です。
ブラケットの場合も犬歯から犬歯にブラケットを装着してワイヤーを入れて治します。
1歯の反対咬合については部分矯正で治す事ができる場合とできない場合がありますのでご注意下さい。あまりに内側に入っている歯の場合は部分矯正ではなく全顎矯正になります。部分矯正で対応できるのは軽度の場合に限るのでご注意下さい。部分矯正でできる場合は比較的少ないと思って頂ければいいと思います。
4:交叉咬合(シザースバイト)
この絵のように上の歯が外側に下の歯は内側に倒れている状態を言います。歯が咬んでいる様で咬んでいないので手前の歯に負担がかかります。また歯が倒れているのでむし歯や歯周病になりやすく歯の寿命が短くなる傾向にある歯並びです。
この交叉咬合(シザースバイト)の治し方ですが、名古屋市緑区の左京山歯科・矯正歯科クリニックではリンガルアーチという器具を用いて治す事が比較的多いです。
この症例のように矯正器具を歯の内側に装着して上の歯であれば外から内に引く力をかけて歯を中に入れます。1ヶ月に1度ゴムやワイヤーを交換して矯正の力をかけます。
まとめ
他にも部分矯正は色々あると思いますが代表的な物はこのような歯並びのことを言います。
前歯だけのガタガタを治すのも部分矯正というかもしれませんが症例によっては奥歯までブラケットを付けたり歯全体にマウスピースをはめないと治す事ができないこともあるので、部分ではなく全顎矯正と言えるかもしれません。
よく八重歯の方がこの八重歯だけ部分矯正で治してほしいです、と聞かれることもありますが八重歯を治すためには4番目の歯を抜いたり全体的に歯を動かさないと歯の並ぶ場所を確保できないので部分矯正ではできません。
意外と皆さんが思っているほど部分矯正の範囲は広くありません。部分矯正で治療ができるのは1歯から数歯のごく狭い範囲の歯を動かす場合で、装置も全体に付けずに部分的に付ける矯正の事を言います。
部分矯正で治療ができるか全体になるかは歯科医院でご相談ください。
名古屋市緑区の左京山歯科・矯正歯科では矯正の資料採りを550円で行い、相談は無料です。
日本矯正歯科学会認定医の歯科医師もいますのでお気軽にご相談ください。