子供の永久歯がいつまでも生えてこない?先天性欠如歯について
こんにちは、左京山歯科・矯正歯科クリニックの院長の宮崎です。
お子さんの乳歯が抜けてからいつまでたっても永久歯が生えてこないと不安になりますよね?
永久歯が生えてこないのには必ず原因が潜んでいます。
考えられるものとしては「先天性欠如歯」「萌出遅延や埋伏歯」があげられます。
そこで今回は「先天性欠如歯」についてお伝えしたいとおもいます。
先天性欠如歯とは?
生まれながらにして歯が足りない状態を「先天性欠如歯」といいます。
永久歯が顎の骨に中で「歯胚」という歯のもととなる細胞の集まりから育ち続けて動くと、その上にある乳歯の根っこが溶けて短くなり、やがて抜け落ちます。
これが通常の歯の生え変わりのメカニズムですが、永久歯が存在しないと乳歯の根っこの部分が吸収されないため、本来は永久歯が生えてくる場所に、乳歯が残ったままの状態になることがあります。
数年前に行われた、日本小児歯科学会の全国調査によると、子供の10人に1人が「永久歯の先天性欠如歯」であるという調査結果が公表されています。
いかがでしょうか?学校の1クラスが30人だとすると、そのうちの3人が先天性欠如歯の可能性があると思うとそこまで珍しいものではありません。
先天性欠如歯の原因は?
遺伝や歯をつくる過程で栄養の欠如・薬の副作用・全身疾患・感染・外傷などいろいろなことが考えられてはいますが、詳しい原因は現在でもわかっていません。
また、現代人である我々の食生活は昔に比べると柔らかいものを摂るようになり、顎が小さくなり、親知らずの本数も減少しています。
これと同じことが他の歯にも起こっており、進化の過程として必要性が薄れてきているため歯の本数が少なくなっていると考えられてもいます。
先天性欠如歯を判別するには?
親族に先天性欠如の方がいる
身長やお顔立ちと同じように、歯並びや歯の本数も遺伝の影響を受けると考えられています。
ご両親や親族が先天性欠如の場合、要注意です。
乳歯が欠如または癒合歯
「癒合歯」とは隣同士の歯がくっついて一塊の状態で、乳歯の前歯に多くみられます。
特に以下の場所に乳歯の癒合歯が起こりやすいと言われています。
・下顎の乳側切歯と乳犬歯
・下顎の乳中切歯と乳側切歯
・上顎の乳中切歯と乳側切歯
※乳中切歯:前から1番目、乳側切歯:前から2番目、乳犬歯:前から3番目
乳歯がいつまでも残っていたり、歯の生え変わりに明らかな左右差がある
歯の生え変わりはある程度バラツキがあるため、一概に何歳までに乳歯が抜けてないといけないというような明確な目安はありませんが、明らかに乳歯が本来抜けるべき時期にもかかわらず、グラグラと動揺せずに残っている状態は疑ってみましょう。
また、反対側と比べて歯の生え変わりが明らかに遅れており半年以上たっても変化がない場合も要注意になります。
先天性欠如歯による悪影響
先天性欠如をそのままにしていた場合に起こりうる影響についてお伝えしたいと思います。
永久歯がないということは、代わり残っていた乳歯が虫歯や寿命によって抜け落ちると、その分の隙間がぽっかりとできてしまうことになります。
その隙間を治療をおこなわず、放置していると他の歯が隙間に向かって動く傾向があるために、様々なトラブルを引き起こす可能性があります。
・すきっ歯になる
歯並び全体はスカスカの状態である「すきっ歯」となり、食べ物が歯と歯の間に詰まりやすくなってしまうことがあります。
・正中がズレる
お顔の正中に対して理想的には上下の歯並びの正中が一致しているのが審美的に理想ですが、隙間のある方へ動いてしまうことでお顔と歯並びの正中に大きなズレが生じてしまうことがあります。
・歯が傾いたりかみ合わせがおかしくなる
隣り合う歯が傾き始めたり、かみ合う歯が上に伸びてきて歯並び全体を悪くすることがあります。
先天性欠如の治療
先天性欠如であるにも関わらず、ずっと放置してしまうと上記のような歯並びへの影響がでてしまうことがありますので必ず治療を行うようにしましょう。
対処が遅くなってしまうと、悪くなってしまったところを治すために期間や費用も余計にかかってしまうため、先天性欠如の有無を早期発見し、計画的な治療を受けることが望ましいと言えます。
治療の方法としては、ブリッジやインプラントなどの人工の歯で欠如した箇所を補う「補綴治療」による方法と、かみ合わせを治す「矯正治療」による方法などが主になります。
最後に
いかがでしょうか?
先天性欠如は今やそこまで珍しいことではなくなりつつあります。
永久歯が生えてこないことは確かに困りごとではありますが、矯正、ブリッジ、インプラントなどの治療法がありますので慌てる必要はありません。
しかし、治療せずにそのまま放置してしまうと後々大変になってしまうので、必ず治療を行うようにしましょう
お困りの方は、ぜひ一度、左京山歯科・矯正歯科クリニックにご相談ください。