前歯にはちょっと無理をしてでもセラミッククラウンを入れたほうがいい理由とは?
こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科クリニックの宮崎です。
前歯は保険診療でも白いかぶせものを入れることができますが正直言っておすすめできません。安くできるからといって安易に飛びついてしまうと後で後悔することになります。
歯科医師としては高いから自費のかぶせものをすすめるというよりも、もっと医療として大切な部分もあるのでそちらを考えるとどうしても自費のかぶせものの方がいいと言わざるを得ません。今回はその理由を説明したいと思います。
前歯は人の第一印象を決める大事な要素。前歯がきれいだと笑顔が美しい。
保険と自費の前歯だとどうしても歯の質感や色に差が出てきます。さらに年数が経つとその違いは一目瞭然です。前歯が白くきれいだと清潔感もあるし笑顔も美しく見えます。
これから就職や結婚を考えていたりする場合に前歯が汚かったりあまりに黄色かったりすると第一印象のイメージはあまり良くありません。比較的見た目も関係するアナウンサーなどはどうでしょう?歯が黄色く汚い人を採用するでしょうか?まずしませんね。同じくらいの能力の人であれば歯がきれいで美しい笑顔の人を採用するでしょう。歯は人の見た目を決定する上で大事な要素です。そういった意味でも人生を左右する大事な時期がいつ訪れるかは分かりません。いつ来てもいいようにしっかりと前歯はきれいにしておきたいですね。
保険と自費のかぶせものだと適合や耐久性に大きな差がある。
保険診療というのは決められた材料と費用で治療しなければいけません。その為型取りの材料などもある程度安価なものを使用しなければ採算が合わないのです。さらにいうと、かぶせものを作るのは歯科医師ではなく歯科技工士さんです。この技工士さんに支払う費用も多くは支払えません。なぜなら保険者と患者さんから頂く診療報酬は決まっているのでしっかりと作ってもらうために多くの費用を技工士さんに払うこともできないのです。すると技工士さんも比較的安い費用で制作するのでそこまで時間もかけることもできないので最低限の適合になってしまうのです。
逆に自費診療は値段設定を自分で決めることができるので腕のいい技工さんに出すこともできますし型取りにもいい材料が使え歯を削ったりする時間もしっかりと取ることができるので適合にも差が出てくるのです。
また保険のかぶせものの硬質レジン前装冠は平均の耐用年数は7年。自費のかぶせものをのセラミッククラウンだと7年で95%残っているというデータも出てきています。保険と自費では見た目以外に機能や耐久性にも大きな差があるのです。
保険のかぶせ物は中で虫歯ができやすく最悪抜歯になることもある。
保険のかぶせものを歯とくっつけるセメントはグラスアイオノマー系のセメントを使います。これは比較的安価なためほとんどの保険の詰め物やかぶせものをつける際に使います。保険の材料の場合はほとんど金属をつかいます。金属とセメントは完全に接着することはなく簡単に言うと強く引っかかっている状態です。そのため時間が経つとかみ合わせの力や唾液が中に侵入してきてセメントが破壊されかぶせものや詰め物の下で虫歯ができます。かぶせものの下の虫歯は発見がしにくいですしさらに神経が撮ってある歯だと痛みを感じないため虫歯ができても気が付きません。そのためどんどんかぶせものの下で虫歯が進行しかぶせものが取れてしまったときには歯質がほとんど残っていなくて抜歯となる場合もあります。
逆に自費のかぶせものをつける際には保険のグラスアイオノマー系のセメントではなくレジンセメントという物を使います。セラミッククラウンだとレジンセメントを使うことで完全に接着させ歯と一体化させることができるためガラスのような材質のセラミックでも金属と同等かそれ以上の強さを発揮させることができるのです。またこのレジンセメントはグラスアイオノマー系のセメントと違い唾液などで劣化しにくいためかぶせ物の下に虫歯を作ることも少ないと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?前歯は特に大事な歯です。保険でも白い歯ができるから安いのでいいやと安易に考えるのではなくしっかりと検討しましょう。安易に考えていると何年後かにもっと高くつく可能性もあります。保険が悪い治療とは言いませんが保険診療は必要最低限の治療ということを理解しましょう。
歯は何回でも治療できるものではありません。歯は有限です。生涯に5回くらいしか同じ歯の治療はできないと言われています。高くてもいいものを入れて長持ちさせるか、歯にお金をかけるかどうかは価値観の違いですが歯科医師の僕自身はしっかりとお金をかけてもそれだけリターンがある投資だと思っています。