放っておくと危ない!!強い歯ぎしりにはご用心。
こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科クリニックの院長の宮崎です。
歯科治療をうまく導くためには2つのコントロールが必要です。1つは炎症のコントロール。これは歯周病のコントロールを意味します。
もう一つは力のコントロール。実はこれがものすごく難しいのです。力というのは主に寝ている時や無意識の食いしばりや歯ぎしり(ブラキシズム)です。
このコントロールがうまくできないと歯科治療はをしても長持ちはしないのです。
ブラキシズムとは??
歯ぎしりや食いしばりのことを総称してブラキシズムと言います。主に無意識下で行われる行為です。原因は本能やストレス発散とも言われてます。
ブラキシズムには2種類ある。
クレンチング:咬みしめ型。無意識のうちに噛み締めてしまうタイプで日中、夜間に関わらず起きます。咬みしめるだけで音は鳴りませんがわずかに横に動かすこともありその場合は音がすることもあります。
グラインディング:歯ぎしり型。歯の全体を横にぎりぎりとこすり合せるタイプです。その運度範囲は広く全体が擦り減っていきます。夜間寝ている間にすることがほとんどです。
頻度および力の度合い
ひと晩のブラキシズムの回数は90分(睡眠の1サイクル)ごとに5回、各8〜20秒と報告されています。
睡眠中は大脳皮質が抑制されるために筋の過緊張が怒りコントロールがされず異常な咬合力が発揮されます。つまり火事場のくそ力というやつなんですね。
睡眠時の食いしばりは1センチあたり74キロという力が発揮されます。意識のある時の最大咬合力が1センチあたり12キロであるため6倍以上の力がかかります。
ブラキシズムによって引き起こされること
歯の磨耗
知覚過敏
歯の破折
歯の位置異常、歯の移動
歯周組織の損傷
修復物の破損
顎関節の損傷
実は歯ぎしりはみんなしている!?
私は歯ぎしりなんてしてないよって言われる方はたくさんいますが、実はどんな人でも大なり小なり歯ぎしりはしているのです。全くしてない人はいません。
実はこの自覚がない、無意識化で行われているというのがブラキシズムの問題点なのです。当事者も自覚がないため、まさか歯ぎしりで色々なトラブルが出るとは思ってないのです。
歯周病が進行すると歯ぎしりが強い人はあぶない!!
若い頃は歯並びも良かったのにだんだん歯並びが悪くなってきた人は要注意です。
歯周病が進行してきて歯を支える力が弱くなってきてそこに歯ぎしりのような強い力がかかるとどうなるのでしょうか??歯はその力を受け流すために歯が前に出て傾いてきます。つまり強い力を逃がすために歯が移動したのです。
歯ぎしりが強いと言われた方は歯周病の管理をしっかりしないと一気に歯を失ってしまいます。強い力というのは諸刃の剣のようなものなのです。
歯ぎしりから歯や顎を守るには?
ナイトガードを作る:市販の既製品もありますが歯並びは人それぞれ違うのできちんと歯医者さんで型を取ってオーダーメイドで作りましょう。歯ぎしり用のものは保険適用されるので5000円程度で作ることができます。
治療が必要な歯は治しておく:左右どちらか悪い歯があるとそれをかばって反対側だけで食べるので負担がかかりバランスが悪くなります。そして片方ばかり使っているとその側が弱ってきてそこに強い力がかかるとどうなるでしょうか??一気に悪くなります。きちんと両側で咬めるように治療しておきましょう。
定期検診を受けて歯周病をチェックしておこう:問題が起きやすいブラキシズム。すごい力がかかる歯の周りにプラーク(歯垢)がべったりついてると虫歯や歯周病が悪化します。歯ぎしりが強い人は歯周病のチェックは入念にしましょう。
就寝時に気をつけること:リラックスして寝ましょう。歯ぎしりは日中のストレスを発散するというストレス発散運動とも言われてます。だから疲れた時やストレスを強く持っている時などに強く現れます。なるべく寝る前は悩み事や考え事は持っていかないようにしましょう。また高い枕は食いしばりが強くなることがあるので避けましょう。
まとめ
歯ぎしりや食いしばりは誰でもやってる生理的な行動です。しかし度を越すと様々なトラブルが出てくる場合があるのです。歯ぎしりや食いしばりをしても大丈夫な歯茎や歯を支えてる骨を頑張って維持することも大事ですし、歯ぎしりに対してバランスがいい綺麗な歯並びを持つのも大事でしょう。八重歯や出っ歯の人が歯周病にかかり歯ぎしりなどが強ければすぐに悪くなり抜歯に至ります。
自分ではなかなか気づかない歯ぎしりですが、歯科医師はプロですのでお口の中を見れば歯ぎしりや食いしばりが強いかどうかすぐにわかります。しっかりと歯科医院で歯茎や歯そして歯ぎしりなどのチェックを受けて見るのも大切かもしれません。