子供の前歯が咬み合っていない、これって大丈夫??
こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科クリニック院長の宮崎です。
子供の歯並びで前歯が全く咬みあっていない場合があります。これは良くない不正咬合で開咬といいます。この開咬は放置しておくと非常に問題が出てくる咬み合わせなのです。今回はこの開咬についてお話したいと思います。
開咬とは?
開咬とは奥歯だけで噛み合っていて前歯が当たっていない咬み合わせを言います。つまり、イーッとした時に通常は前歯と前歯が接触しますが全く当たらずに隙間があいてる状態を言います。
開咬になる原因はどのようなものがあるのでしょうか原因は遺伝的な骨格的な用意っと環境要因がありますがどちらかというと環境要因のほうが強いと考えます。 環境要因の代表的なものとして多いのは、指しゃぶり、口呼吸、舌の良くない癖等が挙げられます。
開咬だと何が良くないの?? 開咬の問題点は前歯が噛み合ってないことでまずは発音に問題が出てくる場合があります。しっかりと咬んでも前歯に隙間が空いてしまうので正しい発音ができない場合があります。そうすると将来アナウンサーや歌を歌うなどの人前で話す職業には付くことができなくなるかもしれません。
また奥歯でしか咬めないため咀嚼がうまくできません。開咬の人は前歯で咬み切る事ができません。麺類や細かいものなどは咬み切ることができないので奥歯で咬んだり舌で咬み切ったりするのです。そのため十分に咀嚼できないと胃や腸に負担がかかり胃腸障害などを併発する場合もあります。うまく幼少期に咬めないとしっかりと成長できませんよね。もし子供さんが食事に時間がかかりすぎていたり丸呑みしていたりしたら歯並びを見て下さい。実はよく咬めないのは歯並びが原因だったりもします。
開咬だと唇が閉じにくくポカンと口が空いたままの子もいます。するとドライマウスと言って口の中が乾燥して虫歯や歯周病になりやすくなったり口臭の原因になったりもします。
奥歯しか当たってない咬み合わせだと常に奥歯で咬みます。通常は前歯もしっかりと当たっているかみ合わせです。現在の咬み合わせの考えは前歯は奥歯を助けて奥歯は前歯を助けて相互に助け合いをしているのが正常な咬み合わせの考えです。
奥歯は垂直的な力に強いのでしっかりと強い力を受け止めて前歯に負担がかからないようにします。前歯は根が長いので側方力に強くできています。そのため側方力に弱い奥歯を前歯が助けてあげているのです。 奥歯でしか当たってない咬み合わせだと奥歯だけが仕事して負担荷重になり将来的に歯に亀裂が入って痛みが出たり顎関節症になったりトラブルが出てきやすいと思います。
開咬の治療法は?
小児期であれば指しゃぶりや舌癖などの悪習癖を取り除くなどの原因療法を行います。きちんと小児期に原因を取り除いておかないと顎口腔系つまり顔周りの成長に影響が出てきて正しい成長することが難しくなります。なので開咬はきちんと小児期に治療しておくことが非常に大切です。
成人してからの治療法はワイヤー矯正やインビザラインなどの全顎矯正がメインになります。場合によっては便宜抜歯やミニインプラントなども必要になる場合もあります。そして骨格的にみて開咬がひどい場合は外科的矯正と言って歯の矯正+骨切りと言う全身麻酔下の外科的手術を併用する矯正が必要になる場合もあります。
つまり開咬は治療があとになればなるほど難しく大変になります。難しくなるということは期間も費用もかかると言うことですね。なんでも問題が複雑化する前に治療することをおすすめします。
まとめ
開咬は奥歯に負担がかかる咬み合わせで年齢が上がれば上がるほど治療も難しくなり治療しないと歯を失うリスクも上がっていきます。若い人で開咬の人はいますが60歳以上になると開咬の方はほとんどいなくなります。やはり負担がかかって歯を失って義歯などになることで開咬の方が少なくなっていくのです。
やはり前歯が咬んでないというのはものすごくリスクが高いということです。そのためできるだけ早い時期に矯正治療で開咬の原因を取り除きしっかりとした治療を受けることをおすすめします。子供を開咬にしないためにも指しゃぶりや爪噛みなどの悪習癖は早くやめさせて、食事の時の食べ物の飲み込み方がおかしければ歯医者に相談に行ったり鼻が詰まっていて口で呼吸していれば耳鼻科へ行くなど幼少期の子供を親御さんはよく観察して上げて下さい。それが子供の歯並びを正しい方向に導く方法だと思います。