インプラントが望ましいケースとは!?
歯を抜いた後、欠損になった部分をどのように治療するかは本当に悩みます。患者様だけではなく、私たちも悩む場合が多いのです。
欠損の部分を治療する場合は大きく分けて3つの方法があります。それが、入れ歯、ブリッジ、インプラントです。若い人は入れ歯を入れることは少ないので、ブリッジかインプラントの選択になることが多い傾向にあります。
今回はインプラント治療が最適なケースを紹介します。具体的にどのようなケースが適しているのか、参考にしてみてください。
インプラント治療が最適なケースとは
1:中間の1歯欠損である
歯のない部分の両隣が健康な歯であり、なおかつあまり削ってない場合は、ブリッジよりもインプラントが適しています。理由はブリッジの場合は両サイドの歯をかなり削って被せてブリッジにするからです。現時点で健康な歯であっても、治療のために削ってしまうので、歯の寿命が短くなります。そのため、中間欠損の場合は削るブリッジ治療よりもインプラント治療の方が優位です。
また、保険適用治療を選ぶと、ブリッジは銀歯になってしまい、見た目も良くありません。
白いセラミックのブリッジの費用が、インプラント3本分の治療費になることを考えると、インプラントとの治療費の差は大きくなりません。長い目で見るとインプラントのほうがおすすめです。
2:骨の量がしっかりある
骨の量がしっかりあるということはインプラント治療に適した状態です。
そもそも、インプラントは、人工物を骨に埋入する治療です。インプラントをしっかりと固定するためにも、骨の量が十分になければ治療を行うことはできません。
また、骨の量が適しているだけではなく、密度が高いほどインプラント治療がしやすいと言えます。
インプラントにおいて、治療箇所の骨の状態は治療のリスクや成功率を大きく左右するポイントです。骨の状態が良いほど、インプラントに適していますので、骨の量がしっかりあるようであれば、インプラントを検討しましょう。
3:口腔状態が良い
口腔状態は、インプラントを行えるか否かに大きく関わる部分です。
虫歯がなく、歯茎に異常がなければインプラントを成功させやすくなります。口の中の状態が清潔であり、健康な状態であれば、安心して治療に臨めるでしょう。
そのため、インプラントを検討している場合は、毎日丁寧に歯磨きを行うことはもちろんのこと、歯石除去や歯周病の治療などを行っておく必要があります。
4:総義歯が合わない
総義歯が合わない場合は、インプラントに変更いただくことをおすすめします。
さまざまな事情により、総義歯を選んだという方は多いです。しかし、仕上がりに満足できず、日常生活の中で違和感を覚える方も少なくありません。
歯に関するストレスは想像以上に大きなもの。総義歯にしたものの、「自分に合わない」「仕上がりに違和感を覚える」などに心当たりがあれば、インプラントに変更してみてはいかがでしょうか。
5:歯を失った理由が事故や外傷の場合
外傷や事故で歯を失った場合は、インプラントでの治療が適していることが多いです。
基本的に重症ではない外傷や事故であれば、歯の周辺にある骨には異常がないケースがほとんどです。
すでに、歯周病などで骨に異常をきたしていなければ、インプラントで怪我・事故前の状態へと近づけることができるでしょう。
ただし、歯の周辺の骨が折れたり、歪んでしまったりするほどの怪我であれば、インプラントは難しくなりますので注意してください。
インプラントの他にブリッジを検討してもいい場合とは
1:両サイドの歯がすでに削ってある場合
両サイドの歯がすでに削ってあり、被せ物が入っている場合はブリッジでもいいかもしれません。ブリッジは、歯を失った部分の両脇の歯を削り、固定式の歯を埋め込みます。
歯を削る行為は、歯の寿命を縮めることになるので基本的にはあまり好ましくありません。しかし、すでに両サイドの歯を削ってある場合は、新たに削る必要がないので、ブリッジという選択肢もあります。
とはいえ、ブリッジは支えとなる両サイドの歯に負担をかけてしまうのが事実です。負担を軽減したい場合や、口腔トラブルのリスクを回避したい方は、インプラント治療を検討してみるといいでしょう。
2:前歯を審美的に治療する場合
前歯を治療したい場合、審美的な面で見るとインプラント治療は適さないことがあります。
インプラント治療は歯を失った部分に固定する人工的な歯ですので、両サイドの歯と比べて違和感が生じてしまうことが多いです。とくに、「質感」「色味」が隣の歯と異なってしまい、治療した箇所だけが浮いたような印象になってしまいます。
審美面を重視して前歯を治療したい場合は、ブリッジの方が審美的にうまくいくケースが多いので、見た目重視で治療を行いたい方は参考にしてみてください。
3:治療期間を短くしたい場合
手術が前提のインプラントとは異なり、ブリッジは治療期間を短く済ませやすいのが特徴です。
インプラントの場合、トータルの治療期間は短くても2~3か月、長いケースでは1年にも及ぶことがあります。
一方、ブリッジの場合は土台作りや型取りなどの期間を含めてもわずか数日で完了します。早い場合には2~3回の通院で治療が完了するので、「早く治療を済ませたい」という方にとってメリットが大きいと言えます。
「人前に立つ予定がある」「忙しくて長期的に通院することが難しい」など、事情がある場合にはインプラントよりもブリッジがおすすめです。
インプラントが適さないケースも
歯を失ってしまったとき、インプラントは有効な治療法の一つです。まるで、本当の自分の歯のように使えるうえに、入れ歯とは異なりこまめにメンテナンスをする必要もありません。
メリットが多い治療法ですが、必ずしもすべての患者様に最適な治療ではないのが事実です。インプラントが適さないケースは以下の例が挙げられます。
1:妊娠中
妊娠中の女性は、インプラント治療が母体や胎児に負担を与える可能性がありますので、基本的に多くの歯科医院で治療をお断りしています。
実際、インプラント治療では、麻酔を使用して手術を行いますので、母子に与える負担は大きなものと想像できるのではないでしょうか。
また、妊娠中だけではなく、産後直後のインプラント治療にも注意が必要です。出産直後は体力が低下しているうえに、授乳などにより体調が優れない場合があります。
そのため、インプラント治療を検討するのであれば、妊娠期間中及び出産直後は避け、授乳期間が終了したタイミングが適切です。
なお、妊娠期間中や出産後間もない時期に歯を失ってしまった場合は、入れ歯などで対応することが多いです。
2:未成年
未成年の方の場合、インプラントはおすすめできません。体が未発達な段階にある未成年は、あごの骨も成長段階にあります。
成長中の未成年がむやみにインプラント治療を受けてしまうと、歯並びが悪くなったり、骨に異常が生じるリスクがあるのです。
基本的に、国内のインプラント対応歯科医院は、未成年へのインプラント治療をお断りしているので、「差し歯」「ブリッジ」「入れ歯」などで対応するケースがほとんどです。成人したタイミングで、改めてインプラント治療を申し込みましょう。
3:あごの骨の密度が低い
あごの骨の密度が低い場合は、インプラント治療を実施できません。
インプラントを埋入するためには、密度が高く丈夫なあごの骨が必要不可欠です。また、仮にあごの骨の密度が十分であっても、「骨が薄い」など骨の状態によってはインプラント治療を行うことは難しい場合があります。
骨の状態が理由でインプラント治療ができない場合は、骨造成や骨移植などを行えば治療が可能となるケースがあります。ただし、骨造成や骨移植などに対応する歯科医院は少ない傾向にありますので注意してください。
4:口腔トラブルを抱えている
インプラント治療を受けるためには、口腔状態に問題がないことが第一条件です。つまり、歯周病や虫歯などのトラブルを抱えていると、インプラント治療は行うことができません。
虫歯や歯周病がある状態でインプラント治療を行ってしまうと、手術中に口腔内感染を引き起こすリスクがあるからです。必ずしもすべてのケースで口腔内感染が起きるわけではありませんが、安全面を考慮し、口腔トラブルを改善したうえでインプラント治療を行う必要があります。
5:疾患や持病を抱えている
あまり知られていませんが、インプラント治療を行うにあたり、疾患や持病を抱えている方は断られることがあります。
体調面や健康面に不安がある方の場合、手術中や術後にトラブルに陥ることがあるのです。とくに、高血圧や心疾患、骨粗しょう症のような全身疾患や持病を抱えている方は、インプラント治療はリスクが高い傾向にあります。
疾患や持病を抱えている場合は、基本的にインプラント治療は避けた方が無難です。しかし、かかりつけ医へ相談し、体への負担に問題がないと判断されれば、インプラント治療を受けられます。
疾患や持病を抱えている方は、まずかかりつけ医に相談のうえ、判断を仰ぎましょう。
名古屋市でインプラントをお考えの方へ
インプラント治療は、必ずしもすべての歯科医院で行っているわけではありません。なぜなら、高度な技術と正しい知識を要する治療であるからです。
虫歯治療とは異なり「削って、詰めれば治療が完了」という簡単な治療ではなく、あごの骨や口腔状態などもしっかりと見極める必要があります。患者様ごとに適切な治療計画を立てなければならないので、インプラントに対応している歯科医院であっても治療は大変と感じます。
だからこそ、インプラント治療を受ける際には、情報収集をしながら信頼できる歯科医院を探すことが大切です。名古屋市ではインプラントに対応している歯科医院は多いですが、必ずしもすべての歯科医院が自分に合っているとは限りません。
患者様に親身になってくれる歯科医院や、豊富な技術・知識を持つ歯科医院をリサーチし、安心して任せることができる医院に相談してください。
まとめ
歯を削って被せるという治療は歯の寿命を早めます。ブリッジの場合は、被せるだけではなく、やり直す際にも歯を削りますので、どんどん歯の寿命は短くなっていくのが事実です。保険適用の被せ物の場合、8年程度でかぶせ直すというデータもあるほど。
当然、治療の際には歯の神経も取らないといけませんし、3回ほどかぶせ直したら抜歯になります。安易にブリッジを選ぶのではなく、しっかりと今後のことを考えて欠損部を治療しましょう。