【キシリトール配合】ってよく聞くけど実際に効果はあるの?
こんにちは、左京山歯科・矯正歯科クリニックの院長の宮崎です
デンタルケア商品やガム・タブレットなどの売り場で「キシリトール」という単語を目にする機会は多いでしょう。
歯に良いというイメージを持つ人も多いキシリトールですが、実際にはどのような効果があり、どのような方法で摂取できるか知っておくとセルフ口腔ケアにも活かすことができます。
■キシリトールの効果
正しく効率的にキシリトールを摂取するには、まずその効果を理解しなければなりません。
〇ミュータンス菌を減少させ、虫歯を予防する
キシリトールにはミュータンス菌の活動を沈静化させる効果があります。
ミュータンス菌は虫歯菌とも呼ばれる虫歯の原因にもなる菌ですので、虫歯予防や歯垢付着防止に役立ちます。
また、食器を共有することで同居する家族が虫歯になりやすくなったり、乳幼児にミュータンス菌が移ってしまったりすることを防ぐ二次的な効果も期待できます。
お口の中が酸性に傾いて虫歯ができやすい環境になるのを防いだり、虫歯菌の働きを抑えたりしたいときにも有効なのです。
〇カルシウムとの結合を促進し、歯を再石灰化させる
歯の再石灰化を促進し、歯を固く丈夫にする効果があります。
歯の表面にあるエナメル質を新しく形成してくれる働きを持っており、虫歯治療の促進に役立ちます。
また、ごく軽度な虫歯であれば、再石灰化による効果がみられるケースがあるので注目しておきましょう。
通常、歯が脱灰すると溶けるのが進行してしまいますが、効果的な再石灰化ができれば修復でき、虫歯になりづらくなるのです。
特に唾液の中に含まれるカルシウムと結合したときに効果が高まるので、キシリトールを含む前にカルシウムの多い食品を摂っておくとよいでしょう。
〇唾液を多く分泌させる
キシリトールは糖アルコールの1つなので非常に甘く、唾液の分泌量が大幅に増加します。
唾液が多いと食べかすや汚れを洗い流す効果が高くなるので、ブラッシングの間隔が空いてしまったり、万が一磨き残しが生じたりした時でも虫歯に発展しづらくなるのです。
また、唾液には再石灰化に必要なカルシウムイオンやリン酸イオンを補給し、再石灰化を促す役割があります。
さらに唾液には抗菌作用も期待できるので、虫歯予防にもつながります。
〇糖尿病でも気軽に口にできる
キシリトールは糖アルコールの中でも特に甘味が強い成分であり、時には砂糖と同じ程度の
甘味が出るので糖尿病の方には適さないと感じることもあるでしょう。
しかし、十分な甘味がありながらもカロリーは砂糖の4分の3程度しかなく、食べ過ぎによる糖分の過剰摂取がさほど心配にならずに済むのもメリットです。
インスリンに関係なく代謝されるので、糖尿病患者でも気軽に使える虫歯対策として導入されているケースもあります。
■キシリトールの注意点
効果が高くメリットの多い成分でも、使い方次第であることを理解していきましょう。
〇「キシリトール摂取=虫歯ならない」ではない
キシリトールは確かに虫歯の予防効果も歯の再石灰効果も高い成分ですが、だからといって万能薬なわけではありません。
日常的にキシリトールを口にしていてもブラッシングが適切でなければ全ての汚れを除去することはできず、どうしても虫歯になりやすくなってしまうでしょう。
また、再石灰化効果が高いからといっても、キシリトールを食べているだけでは虫歯治療としては不足します。
あくまでもキシリトールは補助的要素であることを理解し、早急に歯科医院に相談して虫歯の治療を開始してもらうのが最適です。
〇一度に食べすぎるとお腹が緩くなる
キシリトールは、一度に大量の摂取をするとお腹が緩くなってしまうケースがあります。
糖アルコールに分類されるキシリトールやソルビトールは小腸での消化・吸収がされづらいので、消化を促進しようと大腸内の水分を増やす効果が働きます。
そのためお腹が痛くなったり下痢っぽくなったりすることがあるので、注意しましょう。
また、どの程度から「食べ過ぎ」に該当するかは、体質により大きく異なります。
キシリトールガム2~3個でお腹が痛くなってしまう方もいれば、丸々1本食べきってようやく違和感が出る程度の方もいます。
慣れていない間は少量から始めたり、お子様や高齢者が使用する場合は特に注意したり、対策していきましょう。
■まとめ
キシリトールを効果的に摂ることは、虫歯の予防や歯の再石灰化促進に役立ちます。
ガム・タブレット・デンタルケア商品のみならず食事から摂取できることもあるので、キシリトール独特の清涼感が苦手な方でも意外と身近な存在なことにも注目しておきましょう。
とはいえ、「キシリトールさえ摂っておけば口腔トラブルとは無縁」というわけではありません。
また、キシリトール配合のものでも砂糖などの他の甘味料が含まれているものもありますので、しっかりと確認しましょう。
キシリトール配合の商品はブラッシングの代替にはならず、摂取量と虫歯への罹患率は完全に比例するわけではありませんので、あくまでも日常的なメンテナンスをサポートするためのものとして捉えることが大切です。
キシリトールを上手く活用しながら、歯の健康を維持しましょう。