下顎親知らず水平埋伏抜歯の術前の説明について
こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科クリニックの院長の宮崎です。
今日は下顎親知らず水平埋伏抜歯の術前の説明について書きたいと思います。
抜歯後は2〜3日は腫れる
下顎の水平埋伏抜歯は歯茎を切開し親知らずの周りの骨を削って抜きます。そのため、抜歯後は炎症が起こり抜いた側の頬が腫れます。腫れ方は個人差がありちょっと腫れる方もいれば、かなり腫れる方もいます。腫れた場合でも2〜3日でおさまりますので
安心して下さい。抜歯後に腫れる場合は異常な事ではなく体の反応なので問題ありません。痛くないのに腫れているから冷やすと逆に腫れが引きにくくなるので注意しましょう。
嚥下痛や開口障害が出る場合もあります。
親知らずは喉に近い部分にありますので炎症が喉に波及するとものを飲み込んだときに痛みが出る場合があります。これも数日でおさまりますので安心して下さい。また開口筋という口を開ける筋肉に炎症が波及すると口が開きにくくなります。これも少しずつ開くようになりますが、口が開きにくいからといってあまり開かないとなかなか開くようにならないのでちょっと痛くても大きく口を開ける努力はしましょう。抜歯後2〜3日は無理しなくて大丈夫です。
下歯槽神経麻痺の可能性があります。
下顎骨の中には下歯槽神経という大きな神経が走っています。通常親知らずはこの下歯槽神経と近い部分にあるため親知らずがその神経に近く根が下歯槽神経に触れていると歯を抜く時に神経を傷つける事が稀にあり、この場合歯を抜いた側の下唇にしびれが出ます。しびれが出た場合は経過観察で3〜6ヶ月で消失する場合もありますが稀にずっと続く場合もあります。
下歯槽神経と親知らずの根がかなり近い場合は左京山歯科クリニックでは歯科用のCTを保険で撮影させて頂き根と神経の位置関係を確認し、患者さんときちんと相談して抜くかどうかの診断をします。下歯槽神経麻痺の確率はだいたい800人〜1000人に1人くらいと言われています。実際に神経と根がほとんど接しているようにCTで見えても麻痺が出ない場合もあり麻痺が出るかどうかは抜いてみないと分からないというのが実際の所です。
そのため抜歯の同意書にも必ずこの下歯槽神経麻痺については書いてあります。親知らずをこのままにしておくデメリットと麻痺が出る可能性を天秤にかけて抜歯するかどうか判断して下さい。歯科医師もアドバイスや説明はしますが最後に決めるのは患者さんです。
ちなみに私は7年前に右の水平埋伏の親知らずを抜歯して下歯槽神経麻痺になりました。私の場合は約6ヶ月位麻痺がありかなり大変でしたが今はほとんど気にならないレベルまで回復しました。若干左右の感覚の差はありますが全然感覚もあるので全く気になりません。ほとんどの方は私のように6ヶ月くらいで回復する場合が多いと聞きます。
舌のしびれが出る場合もあります。
親知らずの近くに舌神経という神経も走っています。そのため下歯槽神経麻痺より頻度は低いですが舌にしびれが出る事もあります。
抜歯の当日は白くて綺麗な服はやめましょう。
抜歯時には顔周りに布をかけて行いますが服に血液や水が飛び散る可能性もあります。お気に入りの服や高価な服は抜歯時には着てこないようにしましょう。
親知らずの抜歯水平埋伏抜歯は保険治療です。
保険診療でレントゲンなども含めるとだいたい5000円程度になります。抜歯の難易度や薬の費用などで変わってきますがこれくらいが目安になります。4本同時の抜歯は藤田医科大学病院など大きな病院で行っておりますので左京山歯科クリニックでは行いませんのでご了承下さい。
まとめ
下顎親知らず水平埋伏抜歯は歯科治療の中でも外科治療で小手術になります。そのため通常の抜歯よりも術前の説明が多くなりますのできちんと抜歯の仕方や抜歯するメリットデメリット、リスクなど説明を受けて納得した上で抜歯を受けて下さい。
また抜歯も30分で抜ける事もあれば1時間くらいかかる場合もあります。手術ですので絶対にこの時間で終わるという処置ではありません。時間に余裕を持って抜歯を受けてくさい。
抜歯後は数日は腫れますので腫れても大丈夫な予定を組んでおくといいでしょう。抜歯後に大事なイベントなどは入れないようお願いします。
左京山歯科クリニックでも親知らずの抜歯水平埋伏抜歯は午前中か午後の早い時間に行うのが一般的です。夕方や夜には行いません。抜歯後に麻酔が切れるのは2〜3時間かかります。夕方や夜に抜歯をすると麻酔が切れた後の異常な痛みや出血があった場合医院が閉まっており対応ができません。親知らずの抜歯はなるべく早い時間に行いましょう。