親知らずについて
こんにちは、左京山歯科・矯正歯科クリニックの日本口腔外科学会認定医の歯科医師の杉藤です。
皆さんは親知らずを抜いた経験はありますでしょうか?歯医者さんに行ってレントゲンを撮影すると、
ほとんどの方は指摘された経験があるのではないでしょうか。
今日は歯についての豆知識として親知らずのことを説明させていただきます。
親知らずとは
親知らずについては他の呼び方として智歯や第三大臼歯などの言い方をすることがあります。
人が物を噛む奥歯のことを臼歯と呼ぶのですが、大臼歯の3番目にあたる歯で手前の2本と似た形をしているためそういった呼び方もされている歯です。
人類の進化と親知らず
ではなぜ親知らずを抜くというワードをよく耳にするのでしょうか?これは人の顎の形が徐々に小さくなってきている事と関連があります。
もともと、人間は親知らずよりもさらに奥にも歯がありました。数千万年前の進化前のサルの時代などは歯が36本あったとされおり、顎をしっかりと使い噛む必要があったため顎も発達し、歯も奥まで並んでいました。
しかし進化の過程で火を使う事を覚え、軟らかい食べ物などが増え顎を使う必要性が少なくなると顎自体の発達が以前より少なくなり歯もそれに従い生える本数が徐々に減ることになったのです。
そのため、現代では顎が大きく生えるスペースがある人は他の歯と同様に並ぶのですが、顎が小さい人だとスペースがなく一部分だけ歯が見える状態だったり、骨の中に埋まったままになっている事が多いです。現代では親知らず自体があったりなかったりするのもこれと関連しているといわれています。
抜かなくていい親知らずはある?
親知らずについては「スペースがあってしっかり並んでいる状態で反対の顎の親知らずと噛み合っており、虫歯もなく清潔な状態を保てる」…と条件を書いてみるととても長く早口でしゃべった様な文章になってしまいます。
それほどまでにしっかりとした条件に合う方が少なくなってはいますが正常な状態であれば抜歯の必要はありませんが、先ほどお伝えしたように、顎の中で埋まったままの状態になっている親知らずが悪さをする原因になる可能性があるため私達は親知らずを抜く事をおすすめしています。
親知らず抜歯のメリットとデメリット
メリットとデメリットで分けて考えてみると、先ほどの条件に合う方は他の歯と同じようにものを食べるのに使う事ができますし、近年では他の無くなった奥歯の代わりに親知らずを移植するという治療もあるため、綺麗な状態で残せる親知らずにはそういったメリットがあります。
しかし、現代ではそういった方よりも横になって埋まった親知らずの方が多く見られ、大多数が残しておく事がデメリットとなる事が多いため抜歯をおすすめしています。
横の歯がどういった悪さをするかというと、手前の歯を押して歯並びを悪くしたり、痛みが出たり、それが進行して手前の歯の吸収を引き起こしたり、一部分だけ出ている所は汚れが溜まりやすくて炎症の原因になったりと様々な症状が発生することがあります。
そのため埋まった状態の親知らず(特に下で横になっていたり、一部分だけ見えている状態のもの)は抜歯をおすすめしています。
もちろん親知らずの抜歯の際にはリスクもあります。
下顎の骨の中には下歯槽神経といって顎の付近の感覚をつかさどる神経が存在しています。
親知らずはその神経と一部が近接しており、個人差がありますが根っこと接しているような場合もあり、
その神経が親知らずを抜いた刺激によって一時的に麻痺が生じる可能性があります。感覚としては顎に麻酔を打ったような感覚が続くようなイメージです。
麻痺が生じてしまった場合、長い目で見れば感覚は徐々に改善されますが完全には元に戻らない方もいらっしゃるため、診察してもらった先生と必ず相談して抜くかどうか検討したほうがよいでしょう。
最後に
今回は親知らずについてお話させていただきました、必ずしも親知らず抜歯が必要となることがありませんが、現代人の親知らずの大半は抜歯をするのがおすすめの状態で生えてくることがほとんどです。
お近くの方や名古屋で大きな病院では親知らずを抜きたくない方などは是非左京山歯科・矯正歯科クリニックへお越し下さい。難しい抜歯は口腔外科認定医が担当させていただきます。