むし歯予防に効果的なシーラントとは?
こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科クリニック院長の宮崎です。
今日はむし歯予防に非常に効果があるシーラントについて説明したいと思います。
目次
・シーラントについて
・シーラントをやる時期はいつがいい?
・シーラントの手順とは?
・シーラントをやった方がいい歯は?
・シーラントは絶対にしないと駄目ですか?
・シーラントは誰でもできますか?
シーラントをしたら虫歯になりませんか?
シーラントについて
シーラントという言葉を聞いた事はありますか?シーラントは歯の中で咬む面のボコボコとした凹凸のある溝部分を噛み合わせに影響がない程度に埋めてあげることでむし歯になりにくくする予防処置のことをいいます。
むし歯になりやすい場所は大きく3カ所あり、歯と歯の間、歯と歯茎の境目、そして奥歯の咬む面です。
歯と歯の間や隣り合っている歯と歯茎の間は基本的に歯ブラシだけでは磨ききれない箇所なので、糸ようじ(フロス)や歯間ブラシを使ってケアをして対応していく部分になり、咬む面は歯ブラシでケアをしていきます。この3つはむし歯の3大好発部位と言われており、そのうちの1つが予防できると聞くとやった方がお得な感じがしますよね。
咬む面の形は、食事がしっかりと上と下が噛み合う事ですり潰せるようになっており、山と谷で構成されています。山部分を咬頭、谷部分を裂溝といいます。
むし歯になりやすい場所はこの裂溝部分です。この溝部分はある程度形は決まっていますが、人それぞれで形が複雑な人もいれば、単純な形の人もいます。また溝自体の深さが深く、到底日々の歯ブラシだけでは汚れがしっかり落ちない場合があります。そんなときにむし歯の予防として使うのがシーラントです。
シーラントをやる時期はいつがいい?
シーラントは6歳前後の6歳臼歯が完全に生えてから行うのがいいでしょう。歯は生えたての頃は虫歯になりやすい時期です。歯は生えてから口の中の唾液のカルシウムを取り込んで少しずつ硬くなっていきます。例えればタケノコのような物です。タケノコも生えた直後は柔らかいですがだんだん硬くなり竹になりますよね。なので生えたての6歳臼歯は虫歯になりやすいのでこの時期にシーラントを行う事がいいでしょう。
基本的にシーラントは予防処置ですので小学生で生えた直後の永久歯に行うので成人の人の歯にシーラントをする事はありません。虫歯になりやすい時期にシーラントを行いましょう。
シーラントの手順とは?
具体的なやり方は、溝部分をしっかりと洗って汚れが付いていない状態までピカピカにします。そのあとエッチングと言う酸処理を歯に行い、溝が埋まるようにプラスチックの樹脂の材料で埋めていき特殊な光を当てて固めます。材料の中にはフッ素が入っており付けたあともフッ素が歯に働きかけ、よりむし歯になりにくくなります。
シーラントの特徴として歯を削らないという特徴があります。歯を削らないで深い溝だけ埋めるので安心ですね。
シーラントをやった方がいい歯は?
乳歯は比較的溝が浅いので咬合面(咬む面)はあまり虫歯になりません。むしろ乳歯の奥歯は歯と歯の間にむし歯ができます。なので乳歯にシーラントはあまり効果がありません。またシーラントを行う場合には防湿と言って唾液が入らないようにロールワッテで舌を押さえたり、ズーという装置を口の中に入れて乾燥させます。乳幼児ではこういった防湿がなかなか難しいのでシーラントを行う事が非常に困難です。
シーラントは6歳臼歯に行うのが非常に効果的です。6歳臼歯は乳歯に比べると溝が非常に複雑で深いので虫歯になりやすい歯です。そして6歳ではしっかりと歯磨きができないので虫歯になりやすい、またこの6歳臼歯は歯並びや咬むためにとても重要な歯なので虫歯になると困ります。
こういった理由からまずは6歳臼歯にシーラントを行いましょう。そして乳歯でむし歯があったり治療をしたお子さんの場合はむし歯リスクが高いのでシーラントは必ず行いましょう。
シーラントは絶対にしないと駄目ですか?
乳歯でむし歯がなかったり歯磨きがしっかりとできている場合はシーラントはしなくても大丈夫です。
シーラントは誰でもできますか?
シーラントは先ほど書いたように防湿がしっかりできないとできません。歯科医院の診療台に上手に座れなかったり、口を5分程度は開け続けたり、器具を口の中に入れても暴れたり泣いたりしない子はできます。
逆に言うとこういったことが上手にできない子はシーラントはできません。ではシーラントができない子はどうすればいいのでしょうか?その場合は歯科医院でフッ素を定期的に塗ったりご家庭でもフッ素ジェルを使いましょう。
シーラントをしたら虫歯になりませんか?
シーラントをやったら絶対にむし歯にならないというわけではないので、歯磨きはしっかり行いましょう。また、永久的なものではなく、端が削れ、かけてくることがあります。それによって逆に汚れが付きやすくなりむし歯になりやすくなることもあるので、定期的な検診が必要になります。
まとめ
シーラントはあくまでむし歯予防の手段の一つです。シーラントをしたら必ず虫歯にならないわけではなく咬合面(咬む面)のむし歯をなりにくくするだけです。ですので、シーラントをしても甘い物をたくさん食べたり歯磨きをおろそかにして歯垢がべったり残っているとシーラントの下で虫歯になる事もあります。
また咬合面(咬む面)にむし歯ができなくてもそれ以外の虫歯になりやすい、歯と歯の間や歯と歯茎の境目などにむし歯ができる事もあります。
むし歯予防は1つやればもう大丈夫ではなく食生活習慣や歯磨きの仕方、フッ素の効果的な使い方、定期健診など様々な予防を行い防いでいきます。シーラントをしたからむし歯は大丈夫と過信しないで定期的に歯科医院を受診して全ての永久歯が虫歯にならないようにしていきましょう。