実は怖い!?むし歯の原因菌のミュータンス菌とは?
こんにちは、名古屋市緑区の左京山歯科クリニックの院長の宮崎裕基です。
今回はむし歯の原因菌と言われているミュータンス菌について説明したいと思います。
実はこのミュータンス菌、むし歯の原因菌だけではなく全身にも影響があるのではないかと言われているのです。
コロナウイルスも目に見えず怖いですが身近に存在しているミュータンス菌も侮ってはいけません!ほとんどの人の口の中に潜んでいるミュータンス菌を知って全身の健康を保ちましょう。
目次
・ミュータンス菌とは?
・むし歯の原因菌、ストレプトコッカスミュータンスについて
・ミュータンス菌が全身に回るメカニズム
・ミュータンス菌とは?
ミュータンス菌という名前は聞いた事ありますか?これはむし歯の原因として知られている細菌です。
ミュータンス菌は一種類ではなく、いくつか種類があって、それぞれで性質が異なります。
例えば体のどこかに傷があると、血小板という血液の中の止血作用をもつ成分が傷にくっついて血が止まるのを促します。ところが、ある特定のミュータンス菌が、血液の中に入り込んで傷口にくっつくと、血小板がくっつくのを阻害してしまいます。そうなると血の止まりが悪くなってしまいます。
最新の研究では、脳に小さな出血がある人はその特殊なミュータンス菌を持っている可能性が高く、また特殊なミュータンス菌を持っている人の方が脳の中の小さな出血の数が多く見られたと報告されています。
他にも認知症との関連も考えられており、認知症の中でも脳血管性認知症は認知症の約20%を占めており、この認知症の患者さんの唾液から調べてみるとこの特殊なミュータンス菌を持っている人の方が認知機能が低いことが認められたとも報告されています。
これだけ聞くと自分の口の中のミュータンス菌はどれなんだろう?と気になると思います。大抵の人は1種類、多い人は2〜5種類持っています。この特殊なミュータンス菌は10人に1、2人は持っているとされています。意外と多いですよね。自分の持っている菌が何かすぐに調べられればいいですが、実はそんなに簡単には調べられず、専門の病院で行う必要があります。
・むし歯の原因菌、ストレプトコッカスミュータンスについて
皆さんが想像する虫歯菌がこのストレプトコッカスミュータンスです。
この菌はほとんどの人の口腔内に存在しています。虫歯になりやすい人、なりにくい人はこのストレプトコッカスミュータンスの菌の量が大きく関わっているとも言われています。この菌は水に溶けないグルカンというネバネバの物質を作り歯に強固に付着します。この強固に付着したストレプトコッカスミュータンスの集合体をプラークといい、砂糖などのショ糖を摂取して酸を産生し歯に穴を開けてしまいます。。
このグルカンで強固に付着したプラークはうがいくらいでは取れません。唯一の取る方法は機械的な清掃、すなわち歯磨きです。そして歯科医院で行うPMTCという専用のペーストを付けて行う機械的歯面清掃。歯科医院で行う機械的歯面清掃は実は着色を取るのが目的ではなくむし歯予防に非常に効果的なのです。
・ミュータンス菌が全身に回るメカニズム
お口の中の菌が血液の中に入る方法は、歯周病で腫れてしまった歯茎から、血管内に入っていきます。歯周病は歯茎が赤く腫れて炎症がある状態を言います。全ての歯の歯周ポケットが6ミリあり炎症を起こしているとその面積は実は手のひら位と言われています。
手のひらの皮膚が赤くただれてジュクジュクしてちょっと触ったら出血している状態と思って下さい。手のひらが常に炎症を起こしていたらどうなりますか?簡単にばい菌が体の中に入ってしまいますよね。歯周病で炎症がある方はこのような状態だと思って下さい。
他には大きなむし歯があると、歯の中にある神経と血管が口の中に見えてしまっている状態になるためそこから血液の中に入っていく事も考えられます。自分の持っている菌が分からないのであれば、こういった悪さをするミュータンス菌を自分は持っていると思って、ケアしていただくことが一番良いかと思います。このような状態にならないよう、日頃から歯磨きや歯間ブラシでのケア、また定期的に歯科医院を受診し、自分では取り切れない歯石を取ってもらうことが大切です。
まとめ
口の中を綺麗に保つことは歯の健康だけではなく、体全身の健康にもとても大切です。定期的な検診でむし歯や歯周病を予防して全身の健康につなげましょう。