実は虫歯予防に大事な唾液の話
みなさん唾液について考えたことってありますか??あまりありませんよね?実は唾液ってすごい万能薬なんです。唾液には様々な作用があります。抗菌作用、抗真菌作用、抗ウイルス作用、味覚、消化作用、緩衝作用、潤滑作用、再石灰化、脱灰作用など唾液は天然のお薬なんです。犬や猫などの動物は怪我したら舐めますよね?あれは生まれながらに唾液が薬の代わりというのを知っているから舐めて治します。人間でもよく転んだりしたら、つばでも塗っておけば治るってよく言われましたよね?あれは本当のことなんです。
虫歯予防に関係があるのは唾液の緩衝作用がかなり重要です。緩衝作用とはなんでしょうか??
緩衝作用とは??
人は食事をすると必ず口の中が酸性に傾きます。酸性に傾くということは歯が溶けやすくなります。しかし唾液の力で酸性に傾いた口の中を中性にしていくのです。この酸性から中性に戻す作用を緩衝作用と言います。つまり緩衝作用が高い人は短時間で中性になり低い人は中性になるのに時間がかかるのです。
また間食が多い人も要注意です。間食が多いと酸性になった口の中がやっと中性に戻りかけてきたのにまた酸性になります。つまりいつも口の中が酸性なのです。ということは虫歯になりやすくなるのです。
緩衝作用を調べるには??
これは唾液の検査をすれば分かります。唾液の量と一緒に測定できるので判定は5分程度で出来ます。
唾液の緩衝作用が低い人はどうすればいいのか??
緩衝作用が低い人は虫歯のリスクが非常に高いのです。つまりリスクが低い人と同じ歯磨きの仕方をしていても虫歯になってしまいます。唾液の質を変えるのは非常に難しいです。緩衝作用が低い人はまずは食生活習慣を改めることと歯の抵抗力を高めましょう。具体的にはフッ素を積極的に取り入れましょう。フッ素入りの歯磨き粉をしっかりと使うことと歯科医院での3ヶ月に1度のフッ素塗布。そしてブラッシング指導、デンタルフロス使用、定期的な歯科医院でのPMTC、キシリトールの積極利用です。
緩衝作用以外にも虫歯に関係が深いSM菌、LB菌とは??
SM菌とはストレプトコッカスミュータンス菌といい虫歯の初期に重要な関わりをします。虫歯のきっかけはこの菌が関係してます。この菌は自然に口の中に定着するのではなく、親子間から接触感染します。つまりご両親のお口の中に虫歯が多かったりしてSM菌が多いと同じ箸やコップを介してお子さんの口の中にうつります。1歳〜3歳が感染の窓と言ってこの時期に感染を起こし定着します。その後は1度定着した細菌層はあまり変わりません。他の菌が入ってきたとしても縄張りをもった菌が排除します。ですので3歳までにSM菌が少ないと虫歯になりにくい子に育つことが多いのです。このSM菌ですが糖を食べて分解し強力な酸を出します。その酸がダイヤと同じ硬度の歯を溶かすのです。
LB菌はラクトバチラス菌といい虫歯の進行に重要な関わりを持ちます。飲食回数や糖濃度の高い飲食物の摂取が多い場合に増加します。歯へはひっ付きませんが虫歯や不適合な詰め物やかぶせ物に生息します。ですので不適合の修復物は直しておかないとこのLB菌が増えていきます。
緩衝作用が低い人はこのSM菌、LB菌を減らさないといけません。ですのでただ単に虫歯を削って詰めただけでは全くダメで虫歯の原因となる因子を減らさないといつまでたっても虫歯になり続けます。まずは唾液のチェックから虫歯予防を始めませんか?唾液を取るだけなので注射などと違って全く痛くありません。
まとめ
唾液が少なくなってくると口の中が乾燥してきたり虫歯になりやすくなったり困ったことが色々おきます。皆さんが毎日何気に飲み込んでる唾液には様々な効果があり副作用が全くない天然の薬なのです。その唾液には様々な虫歯予防の情報も隠れています。まずは虫歯治療をする前に唾液を調べることも大事だと考えましょう。