意外と知られていない無料で受けられる歯科検診とは??
こんにちは、名古屋市緑区にある左京山歯科クリニック 院長の宮崎です。
皆さん知ってましたか??名古屋市には、無料で歯科検診が受けられる制度があるのです。 名古屋市が行っているのは、「歯周疾患検診」、「妊産婦歯科健診」、「在宅ねたきり者訪問歯科診査」そして「事業所歯科健診」の4つです。
子供の歯科検診では、「1歳半健診」、「3歳児健診」、「学校健診」がありますね。
これらの歯科検診は誰でも受診できるわけではありません。しかし、せっかく無料で受けることができるので、ぜひ知っておいて欲しい制度です。
今回はこれらの検診を説明していきたいと思います。
歯周疾患検診
歯周疾患検診は名古屋市に在住の方で40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳、80歳までの方が受診できる歯科検診です。 昨年までは10歳ごとの検診でしたが、今年度より5歳刻みになりました。
検診の内容は歯周病の検診がメインになります。歯周病は40歳辺りから問題になることが増えてくる病気です。40歳以上の方の8割は歯周病に罹患しているというデータもあり、歯を失う原因の第1位は実は歯周病なのです。
この検診を受けるためには名古屋市から歯周疾患検診のクーポンが送られてきますので、それと年齢などが確認できる保険証が必要になります。
また、どの歯科医院でも同様の歯科検診が受けることができるわけではありません。この歯周疾患検診を行うことができるのは、名古屋市歯科医師会に属してる歯科医院のみです。そのため、電話予約の際に、必ず担当者へ名古屋市の歯周疾患検診を受けたい旨を伝えてください。
どこの歯科医院で受診できるかは、名古屋市のホームページにも載っていますし、電話予約の際確認することもできます。
妊産婦歯科健診
妊産婦歯科検診も名古屋市が行っている事業です。検診の対象となるのは妊娠している方と、出産後間もない方です。
出産までの間に行う妊婦健診が1回と出産後、生まれた子供が1歳になるまでの間に受診できる産後検診が1回。計2回産前産後で受診することができます。
名古屋市で妊産婦歯科検診を設けている理由は、妊娠期間中の女性ホルモンが関係しています。女性は、妊娠中に女性ホルモンが増加する傾向にあります。口の中には女性ホルモンを餌とする細菌がいるので、妊娠中はその細菌にとっての餌が多くなり、歯茎が腫れやすくなることがあります。これを妊娠性歯肉炎と言うのです。
また、つわりなどの体調不良で歯磨きの頻度が減ったり、食事を小分けに食べたりしたりすることが多くなると、虫歯や歯周病のリスクが増えます。
ちなみに、歯がない時期の赤ちゃんには虫歯の原因となるミュータンス菌はいません。しかし、歯が生えてくるとミュータンス菌は歯に付着します。そのミュータンス菌は空気感染などで口に伝染るのではなく、接触感染で赤ちゃんに伝染るのです。
具体的には親が使った箸やスプーンで子供に食事をあげる、キスをする、同じコップでお茶や水を飲むなどの行為で接触感染します。これを垂直感染と言います。家族で生活する以上接触を絶つことは不可能ですが、赤ちゃん専用の食器で食事をさせるなどの工夫は取り入れましょう。
なお、今はあまりないですが大人の口の中で細かくしてからあげる行為などは良くないと思います。
とはいえ、大事なのは親御さんの口の中が虫歯や歯周病になってないことです。ミュータンス菌はお父さんやお母さんの口から伝染ることがほとんどです。3歳まででその子の口の中の環境が決まるとも言われています。
大人は産後検診でしっかりと虫歯や歯周病のチェックを行い、子供にミュータンス菌が伝染らないようにしましょう。場合によってはお父さんもぜひ検診を受けてくださいね。
名古屋市で実施している妊産婦歯科検診も、名古屋市歯科医会に入会している歯科医院でしか受けることができません。必ず電話予約の際に妊産婦歯科検診の受診の旨を伝えましょう。
また、検診に行く際には母子手帳とその中にある検診のクーポンを持っていきましょう。母子手帳に入っていますので、母子手帳ごと持ってきてもらえれば大丈夫です。受診前に受診票の裏に問診票があるので書いておいてもらえるとありがたいですね。妊婦健診は黄色、産婦検診は緑の受診票になります。
在宅ねたきり者訪問歯科診査
在宅ねたきり者訪問歯科診査は、40歳以上の在宅ねたきりの方が対象になります。依頼があった場合に歯科医師が訪問し検診、保健指導を行います。
この場合も名古屋市歯科医師会に所属している歯科医院が検診を行いますが歯科医院によっては訪問歯科を行っていない場合もありますのでその場合は注意してください。訪問歯科を行っている歯科医院に依頼しましょう。
事業所歯科健診
事業所歯科検診は、各健保組合が愛知県歯科医師会に委託して行っている歯科検診です。健診票の持参の有無や対象者、実施期間、年に何回健診を受けることができるかやオプションなどは事業所によって様々です。
ご自身の所属している健保組合が事業所検診を行っているかはご自身でご確認ください。
また、健診を行っている歯科医院は、愛知県歯科医師会に所属している歯科医院に限ります。予約をする際には必ず事業所名を言って事業所歯科健診を受けたい旨を伝えましょう。
ただ単に健診を受けたいとだけでは、事業所健診とは分かりませんのでご注意ください。健診は無料ですが、事業所名を確認するため保険証は必要になります。
当日は健診を行いますが事業所によってはオプションとして歯面清掃、フッ素塗布などが受けられる場合もあります。あくまで歯科医師の判断となりますのでご注意ください。また歯石取りは治療行為になります。別途治療費がかかってきますので健診日にはあまり受けることができませんのでご注意ください。
1歳半健診、3歳児健診、学校健診
子供が対象となる「1歳半健診」「3歳児健診」「学校健診」は、ご存知のかたも多いと思います。基本的に住んでいる区の保健センターで節目の1歳半と3歳の時に行う健診です。
健診以外に有料ですがフッ素塗布も受けることができます。健診で引っかかった方は速やかに歯科医院で診てもらいましょう。
また、学校健診でも虫歯や歯並びなどで異常などが発見されると、歯科医院の受診をすすめる紙をもらえます。とはいえ、1歳半健診や3歳児健診、学校健診では1度に多くの人を診ますし設備も歯科医院ほどしっかりしていません。
そのため、担当した歯科医が異常を見逃してしまうこともありますし、明確な異常がなくても、疑わしい場合は「虫歯」の欄にチェックを入れたりする場合もあります。信頼できる診断は歯科医院でしか行うことができませんので、健診後に紙を受け取った場合は歯科医院で必ず診てもらいましょう。
まとめ
名古屋市の無料で受けることができる歯科健診は上の通りです。
事業所歯科健診は、年に最低1回は受診することができますが、大企業でなければ実施しておりません。歯周疾患検診も5年に1回の頻度になります。
学校健診も1日に何百人の生徒を健診する都合上、どうしても見落としがある場合もあります。そうしたことを考えると無料検診だけではなく、年に1〜2回は通常の歯科検診を受けることをおすすめします。
そして、歯石などついていた場合はしっかりとクリーニングを受けて健康な口の中を保つことを心がけましょう。
名古屋市緑区の左京山歯科クリニックでは、本ページで触れた在宅ねたきり者訪問歯科診査は行っておりませんが、それ以外の健診はすべて行っております。
必ず予約の電話の際に受ける健診を伝えてからご来院ください。予約がない場合の来院で医院が混雑している場合はお断りする場合もありますので、必ず予約を入れてから安心して足を運んでくださいね。